文:朝宮運河 写真:山田秀隆 田辺剛(たなべ・ごう)漫画家 1975年東京生まれ。2001年『砂吉』でアフタヌーン四季賞審査員特別賞、02年に『二十六人の男と一人の少女』(ゴーリキー原作)で第4回エンターブレインえんため大賞佳作をそれぞれ受賞。04年に『アウトサイダー』を手がけて以降、ラヴクラフト作品のコミカライズに意欲的に取り組んでいる。国際的にも評価が高く、18年『魔犬 ラヴクラフト傑作集』で米国アイズナー賞にノミネート、19年『狂気の山脈にて ラヴクラフト傑作集』で仏国ACBDなどを受賞した。ほかの作品に『サウダージ』『累 -かさね-』などがある。 ラヴクラフト作品の“孤独さ”に共感した ――田辺さんはH・P・ラヴクラフトの小説を数多く漫画化していますが、そもそもラヴクラフトとの出会いは? デビューした直後ですね。当時僕は妖怪ものを描きたいと思っていたんですが、ストーリーが作れなくて