バングラデシュでは、生きる糧を得るために、男たちが世界屈指の危険な仕事に群がる。海岸を舞台にした大型船舶の解体作業だ。 文=ピーター・グウィン/写真=マイク・ヘットワー 外洋を航海する船は、解体するときのことを考えて建造されるわけではない。過酷な環境や自然の猛威にも耐えるように設計され、アスベストや鉛などの有害物質も使われている。 こうした船を先進国で解体すると、規制が厳しく費用がかさむため、世界の船の大半は、人件費が安く規制のゆるやかなバングラデシュやインド、パキスタンといった国々で行われている。 業界の体質を改善する動きもあるが、国によってまちまちだ。インドでは労働者の安全確保や環境保護が、以前よりも厳格に義務づけられるようになっている。 だが、2013年に194隻もの船舶が解体されたバングラデシュでは、解体は今も汚れ仕事で、その現場は危険きわまりない状態のままだ。 巨額の利益が上がる