来日して、もう19年がたつ。実に人生の半分以上である。 日本にもすっかり馴染んだとぼくは思っているのだが、ある場面に遭遇すると、途端にアウェー感を味わうことになる。それは「ラーメン食って帰るか」という言葉が聞こえてきたときだ。 それはだいたい大きな研究会や、仕事などの後で、打ち上げの一次会が終わり、話が盛り上がってきたころにやってくる。テンションが高くなった周りのみんなは、なだれ込むようにしてまっしぐらにラーメン屋を目指す。ラーメンの味を求めてというよりも、一つの儀式のように思えるくらい、たびたびそんな場面に出くわしてきた。 当然ながら、ぼくも並々ならぬ好奇心を抱いているのだが、ラーメンは基本的に豚ちゃんが支配している領域なので、イスラム教徒のぼくは食べることができない。友人が気づいて「チキンラーメンもあるよ」などとフォローしてくれるのだが、どんなラーメンであろうとも、豚ちゃんはしぶとくな