広島県尾道市。大林宣彦監督の「尾道三部作」ファンにとっては思い入れのあるこの地域の名物は、その名も「尾道ラーメン」という。ラーメンのスープは、「瀬戸内海の小魚でダシをとっている醤油味で、豚の背脂が浮いている」というのが通説だったのだが、実際尾道に行ってみるとどうやら少し違うらしい……。 浮かび上がってきたもっとも大きな議題は、「尾道の中華そば」と「尾道のラーメン」が違うか否かということ。はてさて、それはどういったことなのか。事情が分からないのでまずは現地で取材を進めた。 鶏ガラや豚骨、魚介類などダシもそれぞれ 尾道に入って数軒の有名店に足を運んでみたところ、見事に行列ができているではないか。長い長い長蛇の列。そこで諦めて時間をずらし、ようやく昔ながらの店とおぼしき一軒に入ることができた。それが「麺処 みやち」だ。 「うちはもう創業68年になるよ」。さり気なく教えてくれたのは2代目店主の加藤