『声のお仕事』 (川端裕人 著) 結城勇樹、20代後半、事務所預かり声優、代表作、なし。国民的人気マンガ「センターライン」のオーディションを受けた夜、いつものように喫茶店でアルバイトをしていた勇樹の前に “二十四時間声優”大島啓吾が現れる。彼は名刺を差し出し、勇樹と一緒に仕事がしたいと告げる。 受けた役には落ちてしまったものの、勇樹はヒロインの飼い犬・サブ役に決定した。主要キャストには大島啓吾。しかし初レギュラー現場での「リテイクの嵐」に悩み苦しむ勇樹には、彼に件の真意を伺う余裕などなく……。 著者は、以前自著がアニメ化された際の経験から、“声のお仕事”の世界を切り取って活写する作品を手がけたいと思ったのだという。当時出会った声優たちとの対話など、多くの助けを得て作品が形を成したと巻末にて謝辞を述べている。確かに本作を読んでいて、現場あるある・声優あるあるとして共感できる部分が大変多くあっ