松本市と岐阜県高山市境の乗鞍岳(3026メートル)で今夏に取り組まれた専用ケージ(かご)によるライチョウのひなの保護で、ひなの生存率は8月の放鳥後、9月半ば時点で約7割を維持する一方、自然のままで育ったひなの生存率は約1割となっていたことが1日、信州大の中村浩志名誉教授(鳥類生態学)や環境省などの研究チームのまとめで分かった。中村名誉教授は「技術が実用化のめどを付けられた」とし、他の山域でも活用できないか、同省などに提案していく考えだ。 野鳥を完全に人工飼育した場合、放鳥後に餌の取り方などが分からずに死亡する事例も少なくないという。中村名誉教授は、今回は親鳥が子育てをする環境を維持しながら保護したため、「ひなが生きる術を学べた」とみている。 同名誉教授によると、ひなは7月のふ化から約1カ月の間に、悪天候で衰弱死したり、オコジョなどに捕食されたりする事例が多い。このため、乗鞍岳の2770