【堀内VS西本】 あれは1994年の開幕前のこと。長嶋巨人はオリックスを自由契約となった西本聖投手を獲得することになるのだが、これに猛反対したのが当時投手コーチを務めていた堀内恒夫さんだった。 西本さんといえば、切れ味鋭いシュートを武器に、かつて江川卓さん、定岡正二さんと「3本柱」を務めた大投手。ドラフト外入団から、持ち前の反骨心と猛練習でエースの座に上りつめた「努力の人」としても知られる。長嶋監督もそんな西本さんの「男意気」にほれ込んでいて、選手生活の晩年といえども「きっと巨人の力になる」と獲得に熱心だった。 だが、堀内コーチだけはなぜか「西本なんていらねえ!」。いったい、堀内さんと西本さんの間に何があったのか。そこで入社2年目の新米記者の私は、オープン戦の北関東遠征に向かう堀内さんの自宅におじゃました。新宿駅まで奥様の運転する車に乗せてもらって、中央線と山手線を乗り継いで上野駅まで。そ