東京電力福島第1原発事故の影響で漁業が自粛されている福島県沖で、タラやカレイ、アンコウなどの取れる量が事故前に比べて約3倍になっているとの研究結果を福島県水産試験場のチームが21日までにまとめた。漁の自粛で主に定着性の魚が大幅に増えたとみられる。27日から北海道函館市で開かれる日本水産学会で発表する。 チームは、平成19~22年に福島県沖で操業した底引き網漁船の操業日誌と、原発事故後の24~25年に行われた試験操業の日誌から、1時間当たりに網にかかった魚の量をそれぞれ割り出し、比較した。 対象魚種全体でみると、事故後の操業で網にかかった魚の量は事故前の約3倍に増えた。定着性のババガレイ、アカガレイ、キアンコウは5・5~6・8倍。ヒラメは13・8倍と対象魚種の中でも目立って増えている。事故の前年がヒラメの数が極端に増える年に当たったため、漁の自粛でこれらがそのまま生き残ったと考えられる。