都心の禅寺に、駒の動かし方を覚えたばかりの幼稚園児からアマチュア高段者まで、幅広い層の将棋愛好家が集まっている。「広尾しょうぎ教室」(東京都渋谷区)を主宰する飯島篤也指導棋士四段(43)はプロの道を断念した後、一度は将棋界を離れたが、30歳を過ぎてからたまたま始めたレッスンが大受けし、いつの間にか「カリスマ指導棋士」と呼ばれるようになった。夢破れた元奨励会員が切り開いた活路とは? (甲斐 毅彦) 凜(りん)とした空気が張り詰めた座禅堂。その2階に上がると、和室から駒音が聞こえてきた。幼稚園児から中学生までの子供たちが、正座をして背筋を伸ばして黙々と将棋を指している。将棋を「頭の武道」と説く飯島さんの指導は、礼節を重んじるのがモットーだ。 「将棋が強くても、行儀の悪い子が大嫌いなんで。極端なことを言ったら強くなるのは二の次でいい。あいさつとお礼はちゃんと言えるようにしなさい、と。(指導棋士の