コナー・オクレリー『無一文の億万長者』(ダイヤモンド社) ダイヤモンド社の加藤さんより献本いただいた。 世界最大の免税店ビジネスをなした DFS(デューティー・フリー・ショッパーズ)の創業者でありながら、それで得た富を自ら創設したアトランティック財団に寄託してしまったチャック・フィーニーという稀な人物の一代記である。 フィーニーは友人の父親が用意したクリスマスカードを売り歩くことにはじまり、自身が通うコーネル大学の学生のためにサンドウィッチを売るという「隙間市場」を見出すなど有能な事業家として頭角を現す。 彼が手がけた免税事業も一種の「隙間市場」であり、その抜け目のなさと押し出しの強さがその成功の秘訣であることが分かる。まさに起業家精神の人である。 ただ面白いのはその後である。フィーニーはその国際的な免税事業をどんどん拡大する過程で、DFS と競合する事業にも手を染める。もちろんそれは D