「ナウい」は、1970年代の末に登場し、1980年代に入って流行したことばです。「新しい、現代的だ」という意味ですが、繰り返し使われているうちに、あまり新しいとも現代的とも感じられなくなって、流行は急速に衰えました。 『朝日新聞』1982年10月2日付けのサトウサンペイ「フジ三太郎」では、〈いつもナウいネ〉と話しかける課長に、女性社員が〈おくれてますネー〉と答えています。彼女によれば、〈今は「ナウい」のことは「イマい」というんですよ〉だそうです。 【引用した朝日新聞社版】 この話でも分かるように、「ナウい」の流行はわりあい短期間でした。ところが、『三省堂国語辞典』は、このことばをあえて取り上げました。1982年の第三版で「ナウ」の説明文の中に〈ナウい。〉と示した後、1992年の第四版では堂々と見出しに立てています。「フジ三太郎」の女性社員なら、「なぜ今ごろ?」と不思議に思ったかもしれません
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