「本当に、セキネだったんだね」 「何度も確認したけど、昨日も一昨日も、間違いなくセキネだった」 「セキネ、どんな様子だった?」 「柵に手をかけて、ずっと街の方を見てたよ」 「そこ、将棋会館のビルだったんだよね?」 「そうだよ」 「セキネって、将棋が好きなのかな? 結構長いこと顔を合わせてるけど、そんな話したことなかったね」 「会うときはいつも奴らの愚痴ばっかだからな」 「ちゃんと考えたら、僕たちセキネのこと殆ど知らないね」 「あいつ自身がそういう話をしないしな」 「それでも、仲間だよね?」 「あぁ、戦友だ。何が好きかとかは知らないけど、あいつがされてきたことは、俺たちがちゃんと知ってる」 「タクマ、財布あるかもう一回確認して」 「あるよ」 「心配だから手で確認してよ」 「大丈夫だって。ほら、ちゃんとあるから。おいフジカワ、それあと何回聞く?」 「仕方ないじゃん、気になるんだから。それにして