タグ

ブックマーク / goldhead.hatenablog.com (6)

  • ある自動階段人夫の話 - 関内関外日記

    おれの両の手はごつごつしていて、長年つかいつづけてきた腕も変なふうに曲がっているらしい。自分の顔にふれてみれば、ふかく刻まれた皺が指先をくすぐる。しかし、おれには、それが見えない。おれの視界は真っ暗闇のなかにある。 おれが両のまなこを失ってから、どれだけの時間が経ったのか、もうはっきりとはおぼえていない。ただ、光を失うまえ、最後に見たあの光景だけはしっかりと頭の中に刻まれている。おれにははっきりと見えているのだ。 あれはもうずいぶん昔のことだった。革命がおきた年よりも、さらに何年も前のことだ。おれは故郷の村から大君の宮につかえる人夫として都にかり出された。おれは両の親からしっかりした体躯と、物静かな気性を受けついでいたし、七族しらべても凡庸な百姓ばかりで、怪しむべきところもなかったからだ。おれは囲りにながされるままにお仕え人夫となったのだった。 おれの仕事場は、大君の奥の宮だった。一段と高

    ある自動階段人夫の話 - 関内関外日記
  • いかにして僕は心配するのをやめたか - 関内関外日記

    30で職なしの私は死ぬしかないんでしょうか - 1232445376 - したらば掲示板 世の中に心配や絶望の種は尽きないが、僕はもうすっかり心配するのも絶望するのもやめてしまったので、そのことについて書きたい。僕はといえば、だいたいずっと自分にもこの世にも失望していたし、希望をもった瞬間なんて物心ついてからひとときたりともなかったのだけれども、そんな僕でも心配をやめられたという話だ。 簡潔にいえば、死ぬことにしたのだ。 まあ、今からすぐ死ぬという話ではないのだが、かといって5年、10年というスパンでもないのだろう。ともかく、えなくなったら死ぬということだ。そうだ、これまで僕はなんども刑務所に行くような末路について考え、述べてきたのだけれども、一方で自分で死ぬことについては「そんな度胸はない」と言ってきた。せいぜい不慮の事故で死にたいというくらいしか言い切ってこなかった。自分の希死願望と

    いかにして僕は心配するのをやめたか - 関内関外日記
    krgm
    krgm 2011/10/29
  • アンプラグド・エターナル・ドリーミング・アンド・ドリーミング・ノー・シーベルト・アイランド・ワールド - 関内関外日記

    アンプラグド・エターナル・ドリーミング・アンド・ドリーミング・アイランド・ワールド。 ひび割れた人工地盤、砂ぼこり舞う。コンクリートの照り返しはきつい、気温は低い。ラジカセからテーマミュージック、のびきったテープ。 ようこそ、ボーイズ、そしてガールズ。ミッキーだよ、ミニーよ。オー、ミッキー、ターンしてターンしてターンしてポーズ。オー、ミニー、ターンしてターンしてターンしてポーズ。愛してるよミッキー。私もよマイハニー。 ネイチャー・アンド・ネイチャー・ノン・テラベクレル・アドベンチャー・ワールド・ゴーズ・オン・ザ・シーワールド。雑草分けいってアンストッパブル・ジューシー・ジャーニー・ジャングル・クルーズ、陽気なスキッパー、割れた看板、おいしげるだけの木々、濁った水は塩水。「海賊どもを見なくなって何年経つかな?」。 「あれは?」 「ドナルド・ダックだよ」 「いや、リロかスティッチかどっちかと思

    アンプラグド・エターナル・ドリーミング・アンド・ドリーミング・ノー・シーベルト・アイランド・ワールド - 関内関外日記
    krgm
    krgm 2011/03/26
  • 心が根腐れするよりマシなこと - 関内関外日記

    http://twilog.org/goldhead/date-110311 http://twilog.org/goldhead/date-110312 http://twilog.org/goldhead/date-110313 金曜日に地震があった。自分の体験、身の回りの人の体験としては、11日の日記に書いたくらいのことだった。はじめのうちは、楽しみにしていた深夜のアニメが放送されるのかどうか、くらいのことは考えていた。 地震の当の規模を知ったのは、アパートに帰ってテレビを見てからだった。NHKの田畑や住居を飲み込んでいく洪水の濁流。濁流と言っていいかどうかもわからない、あの映像。そして、深夜になって放送された、自衛隊撮影の気仙沼。帰宅困難者どうこうという話ではない。 そして俺は、情報の洪水に飲み込まれた。鮮明な画像で繰り返し伝えられる被害、Twitterを埋め尽くす文字、さらには

    心が根腐れするよりマシなこと - 関内関外日記
    krgm
    krgm 2011/03/15
  • 『インセプション』〜植え付けられたのは誰か?〜 - 関内関外日記

    ※ネタバレあるかも。でも、もう公開から日が経ってるからいい。いや、そういう問題ではないか。などといってる間に、もう猶予はおしまいだ。 俺はもう一度『インセプション』を観るだろう。そして俺がもう一度『インセプション』を観るとき意識するのは、「がコブにインセプションしたのではないか?」ということだ。無理筋は承知。しかし、俺はこの作品にそのくらいの回転の可能性を抱きたい。抱きたくなる映画だ。 観る前は、ウィリアム・ギブスンを想像していた。観終えた感想は、フィリップ・K・ディックだった。サイバーパンク過ぎるわけではない。SFのギミック、小道具は最小限に抑えられている。眠りに没入する機械など、テルモの低周波治療器にしか見えない。決してオノ・センダイではない。そう、『インセプション』世界には、電脳のグリッドもなければ、ニューロンのトンネルもない。出てくるのは、いつはじまったかわからない、現実と見まご

    『インセプション』〜植え付けられたのは誰か?〜 - 関内関外日記
    krgm
    krgm 2010/08/13
  • What is not unpricelessness? - 関内関外日記

    正社員どころかアルバイトの身分もなく、当に無給、無休で働いていたこともあるし。 当に社会的ひきこもりだかニートだかとして、黎明期のインターネットでエロ画像を漁ったり、親から金をせびって競馬ばかりして暮らしていたこともある。 気づいてみたら、金の価値も、物の価値も、時間の価値も、生活の価値もわからない人間になっていた。 俺は金の価値も、物の価値も、時間の価値も、生活の価値も、人生の価値も、俺の価値もよくわからない。労働とそれに見合う給与の関係がわからない。あらゆるものについて費やすべきコストがわからない。ただ怯えながら、リスクを取らないようにしている。自分の手持ちが分からなければ、どのオッズにいくら賭ければいいかなんて、わかりはしないのだ。 街路灯の光を月の光と勘違いしたかもしれない。すれ違った女からいい香りがしたような気がする。とりあえずはそれでいい。

    What is not unpricelessness? - 関内関外日記
    krgm
    krgm 2010/07/28
  • 1