野田佳彦首相が国民生活に大きな影響を与える環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を決めました。首相が発表を1日遅らせたのは、国民の反対が予想を超えていたからです。しかし参加反対の広範な世論にも、情報が不足だとの国民の強い懸念にも耳をふさぎ、与党内の論議さえ押し切ったことに変わりはありません。ハワイでのオバマ米大統領との首脳会談で米国追随の姿勢をアピールすることを最優先にしたものです。 多国籍企業の“天国” 野田首相は「国益のために全力を尽くす」「守るべきは守り、攻めるべきは攻める」と、「国益」を強調しています。ここには何重ものごまかしがあります。 首相は譲ることのできない「国益」とは何かを語りません。TPPに入ったら得られるという「国益」も、入って失われる「国益」もあいまいにしたままです。それは相手国との交渉事という姿勢は「国益」をもてあそぶものです。 TPP参加で輸出品のわずかな関税がな