●発見されたミイラ船 1927年10月31日、 カナダ西海岸バンクーバー島。 ワシントンのシアトル港への帰路についていたアメリカの貨物船「マーガレット・ダラー」号は、行方不明になっていた小型漁船「良栄丸」を発見した。 ボロボロに朽ち果てた船体、ミイラの転がる甲板、激しい死臭、白骨体、足の無い死体。 船室には、頭蓋骨を砕かれた白骨体とミイラがあった。 船室奥の部屋には、おびただしい血痕が染み付いていた。 船尾の司厨室では、海鳥の白い羽が至るところに散らばっており、コンロの上にあった石油缶の中には、人の腕が入っていた。 船内には食物も飲料水も無く、エンジン機関部は全て破損していた。 ところが、船長室から見つかった3冊のノートには、信じられない惨状が書かれていたのだった。 そのノートによると、良栄丸の情報は以下の通りだ。 重量は19tで1本マスト 船主は和歌山県の藤井三四郎