知的財産権を巡る中国特有の法制度や慣例も、商標権をめぐるトラブルが頻発する背景にある。 知的財産権の登録事務を手がける大手事務所(北京市)によると、米国は商標を実際に使ったかどうかを重視する「先使用主義」を採用しているのに対し、中国や日本は先に登録したかどうかを重視する「先願主義」に基づいている。日本では国外ですでに広く知られている商標を国内で自社のものとして登録することはできないが、中国では可能だ。 また、中国では誰でも商標登録ができる。「転売目的や企業に商標を買い取らせるブローカーもいる」(経済産業省幹部)ほどで、商標権を巡る混乱を招いている。 経産省の調査では、日本企業が持つ商標などが、中国で不当に登録された件数は203件(09年度)で、増加傾向にある。「クレヨンしんちゃん」の商標は、訴訟の末に中国企業が使うことが認められた。「九谷焼」「美濃焼」などのブランドや、俳優の金城武さんなど