(2)谷川・羽生の手徹底研究 竜王渡辺明(20)の将棋は、新しいタイプとして注目されている。 完全な居飛車党だが、王位羽生善治(34)のようなオールラウンドプレーヤーではない。先手番になれば重厚な「矢倉」、後手なら軽快な「中座飛車」を得意とし、相手が振り飛車なら手堅い「居飛車穴熊」と速攻「棒銀」が指せる。「相反する戦法を指しこなせるのは棋風というより、それだけ研究が深いから」と九段森下卓(38)は見る。 「戦法の幅が狭い」という声もあるが、逆にいえばその四つを徹底的に調べ上げ、スペシャリストになった。棋王谷川浩司(42)は「若いうちにこれほどの得意戦法を持っているのは大きな強み。幅はいずれ広がる」と話す。 将棋のタイプとしては、年間二千局以上指される公式戦の対局棋譜をパソコンのデータベースですべて調べていることから「デジタル棋士」と思われているが、実際は根っからの「アナログ棋士」。養成機関