パラレルワールドの戦時下日本に迷い込んだ少年達の物語。『ズッコケ三人組』シリーズで有名な児童作家が1975年に書いた作品で、私が読んだのは1999年に偕成社文庫で発行された版。 太平洋戦争で勝利して戦時下の全体主義体制が続くパラレルワールドの日本、そこへ校舎の屋根裏に上がった少年2人が迷い込む。目の前には戦前の日本と地続きの古臭い光景が広がり、教育や法律も旧態依然とした内容だ。大人の相当数が前線で戦っており、同級生には父親を戦闘で失った者もいる。 学校の活動において自由な発言した主人公達だが、やがて同級生から仲間外れにされ、陰湿ないじめを受けることになる。同時並行で元世界の日本へ戻ろうと試行錯誤しつつ、ついに協力者をえることに成功するが…… 時代性を考慮すれば、傑作と呼んで過言ではないと思える作品。反戦児童文学という言葉からイメージされるような単純な内容ではなく、ジュブナイルSFとしても完