コハシは今のところ、おばけのことは怖くない。コハシが怖がっているのは、一に鬼、二に暗闇だ。鬼は、節分のせいですっかり恐ろしいものになった。豆で退散させられると分かっていても怖いものは怖い。暗闇が怖くなったのは割と最近のことで、暗い部屋や、電気が付いていない玄関を怖がるようになった。トイレは自動で電気が付くので怖くない。 それらに比べ、おばけはユーモラスで取っつきやすい存在だと思っているふしがある。『おばけなんてないさ』の歌の影響もありそうだ。せなけいこさんの絵本には、槇みのりさんによる歌詞が5番までまるまる全部載っていて、あのおなじみの、猫目の真っ白なおばけたちが、歌詞にあわせて楽しそうに合唱したり踊ったりしている。バンジョーみたいな楽器を持ったおばけもいる。かわいい。最後のページには楽譜まで付いているので、頑張れば弾き語りもできる。私はあんまり頑張れないので、とにかくコハシと一緒に歌う。