以前から少し思っていたこと。それは「ノックアウトマウスの表現型」である。ノックアウトマウスというのは,特定の遺伝子の発現をなくしてしまう,つまり文字通りノックアウトされてしまったマウスである。 ノックアウトマウスはその遺伝子によって「胎生致死」「正常発生したものの異常が出る」「何の異常も出ない」などの傾向が見て取れる。この傾向を見て,ノックアウトした遺伝子の生体における役割を考察することが出来る。この手法はマウスだけではなく,様々な動物に関して実施されている。今ではラットでも実施可能になった。 創薬の世界では,このノックアウトマウスの情報が非常に役立つ。ある遺伝子をノックアウトすると脂質代謝が良くなる,糖尿病になりにくくなるなどの情報があれば,それはすなわち「その遺伝子のコードするタンパク質をターゲットとした薬は治療薬になりうる」という発想になる。 しかし,実際にはそれをターゲットにした化