1993年に世界で初めて白色有機ELの開発に成功した城戸淳二氏。研究成果は「サイエンス」に掲載されるなど注目を集め、その後の製品化の道を切り開いた。大型化、多方面への応用なども提唱した有機ELの権威として、世界の研究者から知られる人物だ。 デジタルカメラや携帯電話をはじめ、今やさまざまな製品で使われ始めている有機EL。2007年11月にはソニーが最も薄い部分の厚さが3mmという有機ELテレビを世界で初めて発売、先行予約であっという間に品切れになるなど、大きな話題となった。有機ELディスプレイの特徴は、液晶のようなバックライトが不要なこと。数mmという極限の薄さで折り曲げも可能。しかも低電力で視野角も広い。まさに夢のディスプレイ、なのである。 だが、15年前までは実用化の見込みがなかなか立たなかった。そして1993年、この状況を一変させるニュースが世界に衝撃を与える。実現不可能と言われていた