→紀伊國屋書店で購入 世界各地に散った13人の亡命ウィグル人にインタビューした聞き書き集であり、大変な労作である。 新疆ウイグル自治区をとりあげた本はけっこうあるが、ほとんどがシルクロード紀行的な本で、わずかに今村明の『中国の火薬庫』と陳舜臣の『熱砂とまぼろし』が一般読者向けに近代史を紹介している。ウイグル人の現況を伝えた本は本書が最初かもしれない。 著者の水谷尚子氏は日中関係史の研究者で、731部隊や反日活動家に関する本をこれまでに発表しているという。『諸君』や『SAPIO』のような保守系メディアに記事を書くようになったので恩師から「破門」されたということだが、左翼から右翼に転向したということではなく、関係者に直接あって話を聞くという「現場主義」に徹しただけだという。実際、ウイグル問題では『世界』や毎日新聞のような左翼メディアがいちはやく報道していたことを評価している。 チベットの場合、