驚異の空間「無響室」 TOAの担当氏が案内してくれたのは「無響室」。その名の通り、残響がほとんど発生しないように設計された部屋である。 これが、国内最大級を誇るTOAの無響室。天井・壁はもちろん、床までもが吸音構造になっている。長身の担当氏と比べると、その広さがわかることだろう。映画「CUBE」を思い出させるサイバーな空間は、ミュージックビデオに使われたこともある その基本的な仕組みは、上下前後左右すべてを吸音素材にするという単純なもの。とはいえ、完全に吸音させるというのは非常に難しい。どんな素材でも、少しは音を反射するからだ。 そこで無響室の壁は、細い楔(くさび)形のブロックが無数に壁から突き出たような形状になっている。このブロック自体、音を非常によく吸収する素材(グラスウール)なのだが、微妙に角度をつけた楔形になっているために、吸収しきれず反射した音も、ブロックとブロックの間で何度も反