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  • 『敵中横断三百里』『亜細亜の曙』や『浮かぶ飛行島』で魅せた樺島勝一のデザインセンス | マンバ通信

    『正チャンの冒険』の作画家である樺島勝一さんは、マンガの作画家や挿絵画家としての作品だけでなく、デザイナー的な役割でも作品も多数残されています。今回はそのような樺島勝一さんのデザイナーとしての側面について、『心の流浪 挿絵画家・樺島勝一』(弦書房)の著者である大橋博之氏に寄稿していただきました。 アサヒグラフのタイトル文字をデザイン 樺島勝一の肖像写真 椛島家蔵 漫画家は漫画を、イラストレーターはイラストを描くのが仕事で、漫画家が自分の作品であっても雑誌や単行をデザインすることはあまりない(全くなくはない)。そしてそれはイラストレーターも同様。デザインはデザイナーという職業の人が担当するのが一般的。そこには分業にした方が効率がいい、ということもあるが、デザインのことはデザインの専門家であるデザイナーに任せる方が効果的なデザインに仕上がる、という理由がある。 しかし、挿絵画家といわれる雑誌

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  • 同時代の世界のマンガの中の『正チャンの冒険』【後編】 | マンバ通信

    こちらの記事は【後編】です。前編はこちら。 1920年前後の子供向けマンガの人気は、イギリスと日でだけ起きたわけではない。それはヨーロッパのさまざまな国やアメリカで19世紀末から準備されてきたことで、20世紀が始まる頃に一気に花開いた印象である。とりわけ盛り上がったのはアメリカで、イエロー・キッドで知られるリチャード・F・アウトコールトの『ホーガンズ・アレイ』(1895年)、ルドルフ・ダークスの『カッツェンジャマー・キッズ』(1897年)、フレデリック・バー・オッパーの『ハッピー・フーリガン』(1900年)、リチャード・F・アウトコールトの『バスター・ブラウン』(1902年)、ウィンザー・マッケイの『リトル・ニモ』(1905年)などなど、19世紀末から20世紀初頭にかけて、世界マンガ史の重要な作品が次々と誕生した。 もちろんそういった子供向けの作品の盛り上がりはフランス語圏のマンガ“バン

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  • 70年代アメフトブームの中で生まれた丁寧な正統派スポーツ漫画。の、はずが——小堀洋+守谷哲巳『5ヤーダー』の恐るべき路線変更っぷり |

    70年代アメフトブームの中で生まれた丁寧な正統派スポーツ漫画。の、はずが——小堀洋+守谷哲巳『5ヤーダー』の恐るべき路線変更っぷり 『5ヤーダー』 アメフトというスポーツがあります。アメリカでは大人気のスポーツですが、日ではそこまででもない。しかしそんな中でも『アイシールド21』というヒット漫画が存在した……ということはご存じの方も多いことでしょう。では、『アイシールド21』以前にアメフト漫画というものはなかったのか?といえばもちろんそんな事はありません。今回紹介する小堀洋+守谷哲巳『5ヤーダー』もそのうちの一つ。連載は77〜79年の『月刊少年チャンピオン』、単行は全8巻です。 先に、ちょっと時代背景を説明しておきましょう。実は70年代の日では、ちょっとしたアメフトブームが起きていて、子供文化にかなり影響を与えていたのです。74年にはフィンガー5が「恋のアメリカン・フットボール」とい

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  • 第14回 何気ない瞬間の積み重ねが織りなす「ここ」の物語―リチャード・マグワイア『HEREヒア』 | マンバ通信

    2022年の暮れ、リチャード・マグワイア『HERE ヒア』(大久保譲訳、国書刊行会、2016年)が重版された。 リチャード・マグワイア『HERE ヒア』(大久保譲訳、国書刊行会、2016年) もともとは2016年に邦訳され、評判も上々だった作品だが、この手の海外マンガの宿命と言うべきか、ここ数年は品切状態が続いていた。ここ2~3年で書のことを知った人の中には、古書価が高すぎると、歯噛みをした人も少なからずいたのではないかと思う。刊行数年後には絶版になってしまう邦訳海外マンガが多いなか、書に重版がかかったのは、実にめでたい。 もっとも、定価だからといって、決して安い買い物でないのも事実(税込4,400円也)。気になっているけど、買おうかどうしようか迷っているという人もいることだろう。この機会に書リチャード・マグワイア『HERE ヒア』がどんな作品か、紹介することにしよう。 ***

    第14回 何気ない瞬間の積み重ねが織りなす「ここ」の物語―リチャード・マグワイア『HEREヒア』 | マンバ通信
  • 地獄の戦場で生まれたラブストーリー 西島大介『ディエンビエンフー』全9巻 | マンバ通信

    『ディエンビエンフー』 西島大介の『ディエンビエンフー』は、ベトナム戦争を舞台に、生と死と愛と狂気を描いた戦場マンガだ。 タイトルは、ベトナム北部、ラオスとの国境に近いムオンタイン渓谷にある町の名前。19世紀後半から60年に亘りベトナムを植民地支配したフランスからの独立を宣言したベトナム民主共和国人民軍は、この地で1954年3月から5月までフランス軍と大規模な戦闘を繰り広げ、勝利を手にした。ベトナムでは「独立の聖地」と呼ばれる町だ。 さて、この作品は、かなりの紆余曲折を経て完成されている。 初め角川書店の『Comic新現実』Vol.2(2004年11月26日)からVol.6(05年8月24日)まで5話が連載されたのち、掲載誌の休刊のために中断。その後、小学館の『月刊IKKI』06年9月号から構想も新たに連載を開始。しかし、10年9月号を以て休載。続編は単行「IKKIコミックス」で描き下ろ

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  • マンガの中のメガネとデブ【第41回】眼鏡橋華子(松本救助『眼鏡橋華子の見立て』) | マンバ通信

    眼鏡橋華子の見立て』 マンガの中の定番キャラとして欠かせないのがメガネとデブ。昭和の昔から令和の今に至るまで、個性的な面々が物語を盛り上げてきた。どちらかというとイケてないキャラとして主人公の引き立て役になることが多いが、時には主役を張ることもある。 そんなメガネとデブたちの中でも特に印象に残るキャラをピックアップする連載も今回を含めてあと2回。ラス前の第41回は[メガネ編]、メガネそのものをテーマにした『眼鏡橋華子の見立て』(松救助/2016年~18年)の主人公・眼鏡橋華子(めがねばし・はなこ)の出番である。 名前からしてメガネの申し子のような眼鏡橋華子は、銀座のメガネ店「眼鏡画廊」の雇われ店主。単に仕事というだけでなく、心の底からメガネを愛しており、その愛情は海より深い。取材に訪れたモノ雑誌の編集者・川原(かわら)を相手に「人とメガネは絵画と額縁の関係にあたります! 絵画と額縁 お

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  • 川島・山内がヴィレッジヴァンガードの本棚に置くマンガを(攻めた視点で)チョイス!「マンガ沼の本棚」|川島・山内のマンガ沼web |

    川島・山内がヴィレッジヴァンガードの棚に置くマンガを(攻めた視点で)チョイス!「マンガ沼の棚」|川島・山内のマンガ沼web 麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、前回放送の「人気書店にマンガ沼の棚を置いてもらおう!」ヴィレッジヴァンガード編の模様をお送りします。前編のTSUTAYA編と棚の作り方を比べて見ると面白いです(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。 たかたけし先生からの手紙 川島 「人気書店にマンガ沼の棚を置いてもらおう」、続いて棚を作るのはヴィレッジヴァンガードさんでございます。今回は下北沢店さん、大阪のなんばパークス店さんの2軒に置いてくれるそうでございます。ヴィレッジヴァンガードさんからの要望としては、 ・客層は新しいものやサブカルが好きな若い男女。 ・棚の構成は、連載が始

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  • 毒親にひたすら耐えるアイドルホラーマンガ『スポットライト』 | マンバ通信

    『スポットライト』 みなさん、里中満智子先生はご存じでしょうか。 『天上の虹』をはじめ、少女マンガからレディースコミック、青年マンガとあらゆるジャンルで作品を発表し、マンガ家としてだけではなくタレントやデザイナーとしても活躍されていたマルチなかたです。 だがみなさん、里中先生がホラーを描いてたのは、ご存じですか? タイトルは『スポットライト』。主人公がスターを目指してがんばる話です。え、一見ホラーっぽくない? そうですよね。だけどマジこれ怖いんです。 ホラーの元凶は、主人公・望のママ。こいつマジやべえ……。 望のおうちは母子家庭で、ママは毎日せっせと働き、じっと手を見る貧乏暮らしです。それなのに望は小学生の頃から毎日、お歌やバレエを習わされていました。ママに「将来、スターになりなさい」と言われているからです。お稽古のせいで家計は苦しいし、友だちとは遊べない。とうとう望は「スターになんかなり

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  • AIという言葉は無かった頃に衝撃のロボットSF。7年の構想を経てジャンプで発表された 永井豪『真夜中の戦士』 | マンバ通信

    週刊少年ジャンプ1974年17号。 『週刊少年ジャンプ』(集英社)1974年17号 以前、『漫画ドリフターズ』の記事で少し紹介しました。 購入したのは2年程前です。 いつも行く古書店で見つけました。 24歳の頃からいわゆる古書漫画を買う様になり、古い年代の少年ジャンプはそこそこ目にしてきました。 しかしこの『真夜中の戦士』が掲載された号を見るのは初めてです。 それなりのプレミア価格でしたが、これを見て買わない手はありません。 フルカラーで描かれた主人公の「火鳥ジュン」。 表紙も扉ページも素晴らしいですね。 『週刊少年ジャンプ』(集英社)1974年17号より 若々しい永井さん御自身も、表紙だけでなく懸賞ページに登場されてます。 『週刊少年ジャンプ』(集英社)1974年17号より 「特製豪ちゃんチョウチン」が気になりますね。 一つくらいは現存しているのでしょうか。 『真夜中の戦士』はこの号で発

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  • 同時代の世界のマンガの中の『正チャンの冒険』【前編】 | マンバ通信

    原作:小星(織田信恒)、作画:東風人(樺島勝一)『正チャンの冒険』を読んだことがあるという人はどれくらいいるだろうか? 『正チャンの冒険』は大正12年(1923年)1月25日に誕生した作品で(最初の掲載誌は『日刊アサヒグラフ』)、今年2023年1月、連載開始からなんと100年を迎えた。当時からマンガはすっかり様変わりしたし、そもそもマンガというと、日々生み出される新しい作品を読むことが多いだろうから、『正チャンの冒険』のような古いマンガを読む機会はなかなかないかもしれない。文学作品なら、100年以上前の古典が、今でも文庫で手軽にアクセスできたりするが、不思議なことにマンガだとなかなかそうもいかない。現時点で一番入手しやすい『正チャンの冒険』の単行は2003年刊の小学館クリエイティブ版だと思うが、それだってなんと早20年前のである。幸い今年2023年の秋には、生誕100年を記念した新装版

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  • 漫画の歴史と『正チャンの冒険』 アフター・正チャン編 (前編) | マンバ通信

    ビフォアー編では、正チャンが登場するまでの漫画業界について紹介しました。アフター編では、登場以後の変化については紹介します。 正チャンの登場が与えた大きな影響は次の3つだと言えます。 ・日刊連載の新聞4コマ漫画の誕生 ・一目でわかる特徴をもったキャラクターの登場 ・多メディア展開のはじまり そして、これらの要素が戦前期にどのように発展して、戦後の漫画文化へと繋がっていくのかを戦前期の漫画史の流れと併せて紹介しましょう。 日刊連載の新聞4コマ漫画の誕生と定着 日刊連載の新聞4コマ漫画は、欧米の新聞では1910年代に始まっており、正チャンもこれを真似たものでした。当時の日では、新聞に掲載される漫画は、週一回の漫画欄や読者投稿のものを除けば、散発的に掲載されることが主で、連載だとしても1週間程度の集中掲載でしたので、何のノウハウも無かった日刊連載を行うのは、かなり挑戦的な試みであったと言えるで

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  • 漫画の歴史と『正チャンの冒険』 アフター・正チャン編 (後編) | マンバ通信

    こちらの記事は【後編】です。前編はこちら。 「正チャン」登場前のマンガの歴史に関する「ビフォアー・正チャン編」も併せてお楽しみください! メディアミックス的な展開 正チャンの人気は、キャラクターグッズだけに留まらず、映画や演劇などメディアを超えて活躍するようになりました。現在のメディアミックスの元祖のような存在といえるかもしれません。といっても、こちらもキャラクターグッズと同じように、その人気にあやかって勝手に商売をしたものが多かったようですが…。 日漫画作品が他メディアに題材として取り上げられるようになるのは、映画や軽演劇などが盛んになる大正期になってからです。大正6(1917)年に国産初のアニメーション映画が公開されますが、この時に作られた下川凹天監督の『芋川椋三シリーズ』は、映像は現存していないのですが、そのタイトルから監督でもある漫画家の下川凹天が『東京パック』に連載していた同

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  • 川島・山内がTSUTAYAの本棚に置くマンガをチョイス!「マンガ沼の本棚」|川島・山内のマンガ沼web | マンバ通信

    川島・山内がTSUTAYAの棚に置くマンガをチョイス!「マンガ沼の棚」|川島・山内のマンガ沼web 麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、前回放送の「人気書店にマンガ沼の棚を置いてもらおう!」TSUTAYA編の模様をお送りします(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。 TSUTAYAの棚は「誰もが楽しめる王道ポップ」 川島 今回のテーマは「人気書店にマンガ沼の棚を置いてもらおう」! 番組が始まって2年ちょっと、おすすめマンガを定期的に紹介させていただきましたが、ついに大手の人気書店から「マンガ沼の棚を作ってほしい」とオファーが来たそうでございます。しかも2社! TSUTAYAとヴィレッジヴァンガードでございます。新しいマンガを読みたくなって行く書店は、だいたいこの2つですから、そこに呼ばれ

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  • となりのマンガ編集部 第8回:『月刊コミックビーム』編集部 「こういうマンガを作れ」と言われたことは一度もない | マンバ通信

    マンガの編集部に赴き、編集者が今おすすめしたいマンガやマンガ制作・業界の裏側などを取材する連載企画「となりのマンガ編集部」。第8回は、『アスキーコミック』・『ファミコミ』を前身として1995年に創刊した『月刊コミックビーム』編集部を訪ねました。『コミックビーム(以下、ビーム)』ならではの尖った鮮烈な作品を今日まで数多く送り出しており、マンガ読みに「作家性を全面に押し出したマンガ雑誌といえば?」と尋ねたら多くの方がこの『ビーム』の名前を挙げるのではないでしょうか。今回は、そんな『ビーム』の作品がどのように作られているのか、西山若奈編集長と編集部の山年泰さんのお二方にたっぷりと語っていただきました。 取材:マンガソムリエ・兎来栄寿 編集部に入ってから5年で編集長へ ――最初に、編集者になられたきっかけや主な担当作品などを含め自己紹介をお願いいたします。 西山 編集長の西山若奈と申します。今の

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  • とにかく笑いたい!ときに読むマンガ4作品 |【2023年4月のおすすめマンガ】 | マンバ通信

    今回の月刊マンバでは、「難しく考えずに、とにかく笑いたい!」ときにおすすめなマンガを特集でご紹介! そのほか7つのコーナーで、注目の第1巻『ロックは淑女の嗜みでして』、期待の新連載『令和☆陰陽師』、話題の読切『もどきの2人』など、マンガ情報をお届けします! 月刊マンバとは 秒でいいマンガが見つかるクチコミサービス「マンバ」の1カ月間のクチコミ投稿や、アクセス数の変化を振り返ることで、マンガ界の動きがなんとなくわかる連載。 今回は2023年4月のマンガを、「スタッフが注目している」「マンバでアクセスが多かった」「マンバで盛り上がっている」など様々な視点でピックアップし、スタッフ2名(🥢・🐟)のコメントとともにお届けします。 目次 とにかく笑いたい!ときに読むギャグマンガ4作品 4月発売おすすめ第1巻 4月スタートの注目の新連載 4月おすすめの読切 4月おすすめのクチコミ 4月の人気の著者

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  • 矢口高雄の描く田舎は美しく、そして容赦がない——『おらが村』『かつみ』 | マンバ通信

    『おらが村』 「四畳半SL旅行」の記事で、おらが地元の神奈川県川崎市には「藤子・F・不二雄ミュージアム」があると書きました。このFミュージアムは、「生田緑地」という公園内の施設です。この生田緑地、「緑地」という名の通り自然林などを保全しているのですが、それだけではなく「川崎市の文化の殿堂」といった感じの存在でして、Fミュージアムの他にも、『TAROMAN』で再び脚光を浴びた岡太郎美術館もありますし(『TAROMAN』作中に登場した「奇獣」の元ネタ作品もだいたい見れます。川崎に美術館があるのは、太郎の母方実家が川崎市高津区だからです)、そして「日民家園」という野外博物館もあります。これは江戸東京たてもの園とか博物館明治村とかみたいな建物を公開保存している博物館なのですが、その名の通り「民家」に絞っているのが特徴で、南部曲屋から白川の合掌造りまで、東日を中心に主に茅葺きの古民家が立ち並ん

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  • 随所にみられるこだわりと緻密さが嬉しい昭和鉄道慕情。池田邦彦『カレチ』 | マンバ通信

    『カレチ』 鉄道好きないわゆる「鉄オタ」という方々が世間に存在するのは現在では当たり前の様に認知されてます。 もっとも「オタ」という呼び方はオタクという呼称が広まった平成以降だと思います。 それまでは鉄道マニアと呼ばれてました。 鉄道マニアの内々では「テツ」や「てっちゃん」と言ってた記憶があります。 この呼び方は今も使われてますね。 私は鉄道は好きでしたがマニアという程ではなく、バイト先に鉄道マニアを隠さない同い年の方がいてよく話を聞かされてました。 この方、青函連絡船が廃止になるからと神奈川から3回乗りに行く程度にはガチな方でした。 「鉄オタ」の存在が広く知れ渡った理由は色々でしょうが、テレビ番組の影響は大きいと思います。 私も『タモリ俱楽部』の鉄道特集はよく観てました。 では鉄道漫画というジャンルはいつ頃から定着したんでしょうね。 今回調べてみましたが明確な時期はわかりませんでした。

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  • イスラエルの作家の家族観が面白い!人間くさいキャラクターたちを通して見えるリアルな家族! | マンバ通信

    前々回の記事では、ルトゥ・モダンの最新作『トンネル』の内容についてご紹介し、彼女の深い物語とシンプルな絵柄の間にある落差についてお話した。この落差は読者に余白を持った読み方を促し、自分との対話を生み出すのだが、今回は『トンネル』の中に描かれている家族という普遍的なテーマについて、主人公のニリと弟のブロッシに焦点を当て見ていこうと思う。なぜなら、家族という視点から『トンネル』を読んでいくと、読者自身が日常の中で感じる感情や考え方をニリやブロッシというキャラクターの中に見出すことができる、つまり彼らが我々の鏡となっているのである。 ではまず最初に、ニリとブロッシというキャラクターについておさらいしていこう。ニリは子供の頃、神童と呼ばれるほどの頭脳を持ち、有名な考古学者である父親の秘宝探しを手伝っていた。しかし、インティファーダというパレスチナ人の民族蜂起が発掘作業をしていた被占領地パレスチナで

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  • 少女たちが死と向き合った過酷な戦場 今日マチ子『COCOON』全1巻 | マンバ通信

    『COCOON』 今日マチ子の『COCOON』は、秋田書店の女性向け月刊コミック誌『エレガンスイブ』2009年5月号から10年7月号に連載された戦場マンガだ。単行は秋田書店から全1巻で刊行。10年度文化庁メディア芸術祭では審査員推薦作品に入賞している。また、13年には劇団「マームとジプシー」により舞台化もされた。 冒頭に「この物語は、実在するテーマを題材としたフィクションです」と書かれているように、作は現実の戦場をダイレクトに描いた作品ではない。だが、そこには綿密な取材に裏打ちされた戦場の姿が丁寧に描かれているのだ。 ドラマは南の島でいちばんの女学校からはじまる。戦争さえなければ、そこには少女たちのにぎやかな笑い声が響いているはずだった。 主人公はまだ無邪気さの残る女学生・サン。彼女の親友のマユは東京からの転校生だ。元々、島の名家の出身だったが東京に移り住み、戦況化の諸事情で島に戻って

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  • AIと人間の関係を考えるマンガ|テーマ別に読む[本当に面白いマンガ] 第1回 | マンバ通信

    村上たかし『ピノ:PINO』(双葉社)書影 対話型AI「ChatGPT」が注目を集めている。東大や京大の学長が入学式で言及したり、新聞や雑誌で特集記事が組まれたり、ちょっとしたブームと言っていい。これまでにも、囲碁のトップ棋士がAIに負けたとか、AIで生成した絵がコンテストで優勝したとか、AIの進化を例証するようなニュースが、その都度話題を呼んできた。AIが人間の仕事を奪う、人類に対して反乱を起こす、といった脅威論もある。 一方で、さまざまな機器に搭載されたAIが人間の生活の利便性を向上させていることも事実。今のところ人間の道具の域を出ないAIだが、この先どんな方向に、どこまで進化していくのか。AIと人間の関係はどうなっていくのか。そんな未来図を探るうえで示唆に富む作品を紹介しよう。 ■SF界の巨匠・星野之宣が描くAIと人間の知恵比べ! SFの世界では、AIは昔からおなじみだ。映画『200

    AIと人間の関係を考えるマンガ|テーマ別に読む[本当に面白いマンガ] 第1回 | マンバ通信