当法律事務所は、よく日本企業のアメリカ子会社を閉鎖する業務を請け負う。日本の上場企業X社から、経営不振が続くアメリカ子会社Y社の清算について相談を受けたときのこと。巨額の赤字が続き、それ以上赤字を垂れ流すことはできないということで、親会社X社の取締役会において、Y社を清算することを決めたという話だった。 まず清算の進め方について、X社の日本からの出張者と打ち合わせを行った。X社にとって一番の関心事は債務の弁済についてである。債務合計は300万ドル、債権者数は120社。一方、残余資産は40万ドル。債務合計額が、残余資産額を260万ドルも上回っている。 「債務を全部支払うのは当然だ」 「そのためには、親会社から子会社に、足りない分、260万ドルを送金すべきだ」最初は、そんな意見が大勢を占めていた。 しかし当事務所としては、法律アドバイスにオリジナリティがなくてはいけないと考え、X社に次
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