ゲームライターに要求される技術のひとつに、スクリーンショットの撮影がある。できるだけ作品が魅力的に見えるように、ショートカット・キーに指をかけたまま、魅力的な絵を待つわけだ。20時間ほどのプレイを終えてデータを見てみると、筆者はこの作品のスクリーンショットを500枚ほど撮っていた。これは、同程度のボリュームの他作品とくらべて、とんでもなく多い。その理由は――もちろん、そこまで手元が忙しくないゲームであることも手伝っているが――あまりにも子細に描き込まれたピクセルアートにある。 この作品は2021年現在におけるピクセルアート表現の最高峰だ。微細なドットの最後の一粒にいたるまで、完璧に磨き上げられている。あえて無い物ねだりをするならば、斜めから見下ろしているカメラのためなのだが、ほぼ常に構図がおなじであること。これは物語が地下鉱山の村から始まることも関わっているのだが、主人公のひとりが青空を希