【北上田剛】妊婦らがまき割りや雑巾がけをして出産に備えるユニークなお産で知られる愛知県岡崎市の産婦人科「吉村医院」。50年以上、院長を務めた吉村正さん(81)が年内で引退する。体力が続かなくなったという。吉村院長は「夢中でやってきたが、思想を貫けたのは誇りに思う」と話す。 吉村院長は28歳で開院。「お産を本来の姿に戻す」として、帝王切開や陣痛促進剤など医療技術に極力頼らない「自然なお産」を提唱してきた。 約35年前、医院の裏に築300年の古民家を移築。「産む力」を引き出すため、妊婦らは思い思いに通い、そこでまき割りや井戸の水くみをして体作りをし、それぞれの出産に備える。医院には一般的な分娩(ぶんべん)室もあるが、ほとんどが畳の上に布団を敷いた「和室分娩室」での出産を希望するという。
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