政府は31日、原子力損害賠償支援機構を通じて東京電力に1兆円の公的資金を投入し、50.11%の議決権を取得して実質国有化を完了した。東電の経営破綻を回避し、福島第1原発事故の賠償や、電力安定供給に支障がないようにすることが目的だ。政府はリストラなどで黒字転換させた後、1兆円の公的資本を回収する方針だが、再建が暗礁に乗り上げた場合、機構が立て替えている1兆円余りの賠償資金すら回収できず、2兆円規模の国民負担が生じる懸念もある。【宮島寛】 「いずれは純粋な民間企業の形に戻ってもらう」。枝野幸男経済産業相は31日の会見で公的管理は「一時的」と強調。しかし、公的資本の回収は「相当長期にわたる」と述べ、具体的な言及を避けた。