表紙の絵と冒頭のストーリーから、本書を読み始めた人は皆、アレックスという名の普通の女性が路上で誘拐・監禁され、彼女の救出劇がメインストーリーのミステリーだと思うことだろう。 しかし、実はそうではない。アレックスが誘拐されることは物語のほんの脇道にすぎないのである。 その女アレックス (文春文庫) 作者: ピエールルメートル,橘明美 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/09/02 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (92件) を見る スポンサーリンク この作品について、ネタバレとならないように多くを語ることは不可能だ。 そして、僕はこれから「その女アレックス」を読む人の楽しみを奪う気持ちにはどうしてもなれない。だから、内容にはほとんど触れることなく感想を書きたい。 三部構成からなる本作は、第二部まではアレックスと警察のそれぞれの視点で描かれたストーリーが、その内容とは裏腹