対数という喜劇 強い地震が発生すると、テレビですぐに、「ただいまの地震は震度5弱でした」などと教えてくれる。この「震度」には「三つの喜劇」がある。 かつては、気象台の職員が「体感」で震度を決めていた。1996年になって、気象庁はこれを「震度計」で決める方式に改めた。震度計では、記録された地震波(加速度)に工学的な処理を施し、次の式で「計測震度」を求める。 I = 2 log( a )+ 0.94 「I 」は計測震度、「log」は常用対数(じょうようたいすう)、「a」は工学的に処理された実効加速度だ。 一般人は震度になじんでいるのだが、震度の仕組みを知ろうとして一歩先に進もうとすると、対数を含む式が登場。その瞬間にコミュニケーションは困難になってしまう。文化系の人間のほとんどは対数が苦手なので逃げ腰になってしまうし、実のところ対数は理科系の人間にも分かりにくい「記号」だ。工