近年の息子介護者の増加やその要因を解き明かした「増加する『息子介護』〜妻が何とかしてくれると思っていたら…」につづき、後編では、いつまでも「変わらない」日本人男性の夫婦観・家族観に迫る。このままでは、女性からも社会からも取り残されてしまう……? 「結婚している」とは言わない/言えない心理 自分の思惑通りに妻が親の介護に「関わって」くれないことを、隠しておきたい息子介護者もいる。 ある息子介護者は、同居の母親を一人で介護していた。彼は結婚後しばらくしてから妻とともに実家に戻り、母親と同居を始めた。同じ家に暮らすことにした時点で、彼は、妻がいずれ親の介護にも「関わって」くれるものと思っていたようだ。 彼が自分の目論見違いに気づいたのは、母親が認知症になり、日常生活の世話が必要になってからだ。妻は「私には仕事があります」「自分の親もいます」「あなたの親を看るのは、あなたの仕事です」と、母親の介護