スティーヴン・クラッシェン『読書はパワー』長倉美恵子ほか訳, 金の星社, 1996. 『反社会学講座』でも引用されていたこの本は、そもそも読書が語彙や読解力形成に役立つことを、さまざまな研究をレビューしながら明らかにしようとした本である。結論は、「自由読書」は効率的な能力育成方法だということだ。 専門家の手になるこの著作の主張は、『ヤバい経済学』や『反社会学講座』よりは信用できるのかもしれない。だが、注意しなければならない点もある。ここで「読書によって獲得できる」とされている能力は、かなり初歩的なもののようだからである。 本書で具体的に挙げられている研究例のほとんどは、読書によって語彙を豊富に獲得できることを証明するものである。「読書によって読解力の成績が伸びた」という研究にも言及されてはいるが、説明は詳しくない(引用元をあたれということか)。 「自由読書」は、文学作品だけでなく、漫画もラ
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