安倍晋三前首相が長期政権を築くことができたのは、選挙が非常に強かったことが大きい。国政選挙6戦6勝。国民の人気が高かった小泉政権ですら国政選挙は4戦2勝2敗だ。これだけでも政治家として極めて優秀といえる。では、どうしてここまで選挙に強いのか。それは、安倍氏が徹底した現実主義者だからだ。 安倍氏は、そのときの時流に乗ってキャッチーな政策の打ち出し方をした。「女性活躍」「地方創生」「1億総活躍」「働き方改革」「人生100年時代構想」などと毎年のように看板を掛け替え、「やってる感」を出し、国民の支持を得た。どのように打ち出せば国民に響くか、世論の雰囲気をつかむのが上手だったのだろう。世の中の流れに乗ってヒット曲を作る「ヒットメーカー」と同じだ。 旧民主党政権について繰り返し「悪夢」と発言したり、秋葉原で「あのようの人たちに負けるわけにはいかない」と演説したりして「3割」に徹底的に嫌われようとも、