35人もの犠牲者を出したアニメ制作会社「京都アニメーション」の放火殺人事件は、7月18日の事件発生から1カ月あまりがすぎても、波紋は収まるところを知らない。 実際、現場の献花台が取り払われた8月25日までの間、痛ましい現場となった京都市伏見区の同社第1スタジオ周辺を訪れるファンの行列は途絶えることがなかった。日本のみならず世界各地の「京アニ」ファンが哀悼の意をSNSなどを通じて発信を続けた。取材に当たった地元の民放記者が語る。 「現場を訪れた京アニのファンは口々に『元気をもらいましたから』と涙を隠そうとしませんでした。例えば、耳が聞こえず、いじめに遭った少女と加害者少年の不可思議な人間関係と人間再生のドラマを描いた京アニの映画『聲(こえ)の形』がその一例です。同じ体験を乗り越えたファンが駆けつけ、『勇気をもらった』と献花台に花を手向けている場面を目撃しました。ファンにとって、命を奪われた3