社会はどこで生まれ、どこへ行くのか?~『「社会」の誕生 トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの社会思想史』 著者は気鋭の社会学者である菊谷和宏氏。 社会学がデュルケームから語りだされることは多かれど、その前にトクヴィルを置き、その後にベルクソンを置くことで「社会」という概念の表出と行く末を描いてみせるという、とても挑戦的なアイディアを本書は敢行している。 「社会」とはなにか「社会」という一つのまとまりが実際に存在しているかのように考えられるようになったのは、ごく最近のことであると、著者は言う。 もちろん、人類ははるか昔からあるまとまった集団において共同生活を営んできたわけで、それを社会と呼ぶことは可能である。ただ、集団としての人々の振る舞いに目を向け、その挙動と力学を体系的に明らかにしていくことは、不思議なほどなおざりにされてきた。古代ギリシアを源流とする政治学の系譜も、その発生から200