あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが わたくしから見えるのは やっぱりきれいな青ぞらと すきとほった風ばかりです宮澤賢治「眼にて云ふ」 ネットワークする身体の発生 どちらが最初であったかはわからないが、人間は道具を使い、肉体に衣服をまといはじめたときから、人工的に自然環境へ接続されてきた。そして言語の登場が、この接続のあり方を概念化・分節化し交換すること、つまり世界化することを可能にし、物理的な肉体と相同ではない「身体=意味を胎んだ体」の獲得へと人間を導いた。 身体の起源を端的に述べればこうなるだろう。 人間の存在を物理の層、現象の層に分けてとらえるとき、この二つの層をバインドする情報の層が「身体」である。それは西田幾多郎やメルロ=ポンティの指摘するように、意識の働きにより「道具」を媒介として世界を取り込むように延長していく、イメージのシステムでもある。 行為や直感を、身