辻 哲也(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室) がんのリハビリテーションはなぜ必要なのか? 医療技術の進歩により,がんの死亡率は年々減少傾向にあり,いまやがん患者の半数以上が治るようになりました。わが国では,がんの治療を終えたあるいは治療を受けつつあるがん生存者は,2015年には533万人に達すると予測されており(いわゆる“2015年問題”),がんが“不治の病”であった時代から“がんと共存”する時代になってきました1-3)。 2006年には「がん対策基本法」が制定され,がん患者の療養生活の質の維持向上が,基本的施策として,国の責務であることが明確になりました。しかし,「がん難民」という言葉に代表されるように,治癒をめざした治療からQOLを重視したケアまで切れ目のない支援をするといった点で,わが国のがん診療はいまだ不十分です。 がん患者にとって,がん自体に対する不安は当然大きいもの
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〔連載〕続 アメリカ医療の光と影 第170回 乳癌検診をめぐる大論争(3) 李 啓充 医師/作家(在ボストン) (2869号よりつづく) 前回までのあらすじ:2009年11月,合衆国予防医療タスクフォースがマンモグラフィの開始年齢を遅らせるだけでなく回数を減らす新ガイドラインを発表した途端,患者・医師から「乳癌患者に死ねと言うのか!」とする怒りの声が噴出した。 論争の影に「政治」と「金」 タスクフォースにとって非常にタイミングが悪かったことに,新ガイドラインが発表された2009年11月当時,米国では,医療保険制度改革をめぐって,民主党と共和党との間で激しい政治的攻防が繰り広げられていた。保険会社への規制を強め,既往疾患を理由に保険加入を断ったり病気になった後で保険を取り消したりする行為を禁止しようとする民主党に対し,共和党は「政府は医療に介入するな」と厳しく反発していたのである。 そんなと
「こういう日が来ることは予想していた」。千葉県松戸市の末期がん患者、小倉恒子さん(57)。昨年11月に受けた検査で黄疸(おうだん)指数が異常な上昇を示していた。乳がんの抗がん剤「TS−1」の副作用だった。 現役の耳鼻科医でもある小倉さん。跳ね上がった指数が意味するところは十分に理解できる。「来るべき時が来た…。もう使える薬がない」。不安と怒りが押し寄せてきた。 抗がん剤は、現代のがん治療において最も有効な手段の一つだ。しかし、同じ抗がん剤を使い続けると、がん細胞が薬に「耐性」を持ってしまうという弱点がある。薬を変えながらの治療が強いられる。 34歳で乳がんが見つかった小倉さん。耐性を持つたびに薬を変え、すでに10種類以上の抗がん剤を使ってきた。そして昨年とうとう国内で使える薬がなくなってしまったのだ。 でも小倉さんはあきらめてはいない。日本では承認されていないが、海外にはまだ効果の期待でき
◇医療現場の参考に/高校で授業、生徒ら共感 がんを体験した人たちが、さまざまな場で本音を語り始めた。同じ患者や家族、若い世代にも、共感と理解が静かに広がっている。【清水優子】 <胸が二つあるだけでうらやましかった。子どもに授乳できないのが悲しく、夫婦生活でも夫に申し訳ない気持ちになる> <5歳の息子にがんを伝えた。時々「ママを忘れないでね」と言っては、夫に怒られ反省する> NPO法人「健康と病いの語り ディペックス・ジャパン」(東京都中央区、電話050・3459・2059)は昨年12月から、ホームページ(http://www.dipex‐j.org)で20~70代の乳がん体験者43人の「語り」を、発見▽治療▽再発・転移▽生活▽診断時の年齢--の5項目に分けて公開している。 登場する人たちは全員匿名で、一部は音声や文章のみだが、大半は顔を出して語っている。英オックスフォード大の取り組みをモデ
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