辻 哲也(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室) がんのリハビリテーションはなぜ必要なのか? 医療技術の進歩により,がんの死亡率は年々減少傾向にあり,いまやがん患者の半数以上が治るようになりました。わが国では,がんの治療を終えたあるいは治療を受けつつあるがん生存者は,2015年には533万人に達すると予測されており(いわゆる“2015年問題”),がんが“不治の病”であった時代から“がんと共存”する時代になってきました1-3)。 2006年には「がん対策基本法」が制定され,がん患者の療養生活の質の維持向上が,基本的施策として,国の責務であることが明確になりました。しかし,「がん難民」という言葉に代表されるように,治癒をめざした治療からQOLを重視したケアまで切れ目のない支援をするといった点で,わが国のがん診療はいまだ不十分です。 がん患者にとって,がん自体に対する不安は当然大きいもの
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