『グラン・トリノ』 原題:Gran Torino(2008) 泣いた。ここ数日は『星から来た男』(2008)とか、『Futurama:Into The Wild Green Yonder』(2009)とかで泣いてばっかりだったけど、『グラン・トリノ』でもやっぱり顔面グショグショにさせられた。せっかく花粉症も治まってきたのに……。 もう傑作とかなんとかいうレベルを飛び越えて、あらゆる人の胸を打つ映画だと思う。別に、これまでのクリント・イーストウッド作品のなかでも屈指の完成度を誇る作品というわけでもない。リタイアした頑固親父が若者を鍛え上げていくというプロットなら、他に思いつく作品例は数限りなくあるだろう。だが、ここ数年間ひたすら揺れ続けたアメリカという国の現在、そしてその展望を、ごく小さな世界のシンプルな物語のなかに、見事に表現しきっているのは本当にすごい。行き詰まった状況へのアイロニーでも