アメリカ合衆国発の金融恐慌が世界に波及し、同国では大統領がジョージ・W・ブッシュ・ジュニア氏からバラク・オバマ氏に交替、日本でも小泉純一郎内閣の時代に推し進められた「構造改革」路線の見直しが始まり、かつて一世を風靡した新自由主義の「終焉」が叫ばれるようになりました。しかし、それは本当なのでしょうか。私は、かつて自由主義が社会主義に「勝利」することで「歴史が終わった」と言われた時期があったことを懐かしく思い出します。ベルリンの壁崩壊をブラウン管越しに目撃してからの2~3年間、私はまだ小学生で、むろん当時は『歴史の終わり』という書物も議論も知りませんでしたが、それでも、「これからはきっと世の中はよくなっていくのだ」という漠然とした時代の空気がはちきれるように感じられたことを覚えています。その期待が幻滅へと変わり、そのような希望に満ちた瞬間があったという事実すら歴史のかなたに忘れ去られるまで、さ