経済産業省原子力安全・保安院が2008年度から原子力発電所での事故と地震などの自然災害が同時に起きる「複合災害」について対策の検討を進めながら、自治体などの反発で作業を1年半も中断していたことが12日分かった。 保安院によると、07年の新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発の緊急時対策室のドアなど設備の一部が壊れ、十分な災害対応ができなかったことから、複合災害の検討を開始。08年10月に経産相の諮問機関・総合資源エネルギー調査会の原子力防災小委員会に検討会を設置した。 中越沖地震の柏崎刈羽原発の被災状況をまとめた報告書をもとに、保安院が原発立地自治体の防災計画づくりに生かせるよう、通信網の損壊など複合災害での留意点を素案にまとめた。素案は09年4月に小委員会に提出されたが、自治体や国の機関が「大規模自然災害が原子力災害を引き起こすと誤解を招く」などと反発。保安院は議論は時期尚早として議論を