学芸大学にある流浪堂に足を踏み入れると、まず目に入るのは、立体的にディスプレイされたアート系の書籍の美しいグラフィックであり、壁を彩る東欧の古いポスターである。古本屋らしくないポップさが、訪れる人を明るく迎え入れてくれる。 本棚に目をやると、まるで落ち着きのない小学生みたいに、本たちは前に出て声高に個性を主張したり、列からはみだしたり、好き勝手な方向を向いていたりする。本と本の間には、古いタイプライターや鳥かご、民族楽器などの「異物」が混入していたりもする。全然きちんとしていないのに不思議に醸成されている統一感。雑多な切り抜きの寄せ集めが一枚の絵をかたちづくるコラージュ作品のような店である。 「フラットな棚は好きじゃなくて、わざとでたらめに積んだように見せたり、デコボコさせたりと、立体的な空間作りにはすごくこだわっています」と語るのは、流浪堂店主の二見彰さん。 二見さんは綱島にあった古本屋