「陸軍所轄」「海軍所轄」「師團司令部」。 戦時色を強く感じさせる施設の地図記号が、凡例の上の方に記載されている。これが発行された昭和7年は、満州事変の翌年で、日中戦争開戦の5年前。地図記号ひとつとっても当時の時代背景がみてとれる。 ただ、軍の関連施設を地図に載せちゃっていいもんなんだろうか。敵に場所がばれちゃうんではないかと思うが、調べてみると重要な軍事施設を地図上に偽って記載する「戦時改描」が行われたのは主に太平洋戦争開戦後で、この頃はまだ実情に基づく地図だったようだ。 戦時中は、たとえば軍の火薬庫などは桑畑などに偽って記載されたそうだ。改描が行われる少し前のリアルな地図はある意味、貴重な史料かもしれない。