(英エコノミスト誌 2010年7月3日号) ピーター・ドラッカーと野球を題材にした日本の書籍が意外な大ヒット作になっている。 東京のトレンディーな街、原宿に本社を構える安価でお洒落なメガネメーカーのゾフは、経営理論の熱心な信奉者とばったり出くわすと思うような場所ではない。だが、ある日、同社の上野剛史社長(38歳)は、おてんばな女子高生が表紙に描かれた野球小説を振りかざしながら社内会議に現れた。 それは『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』という長ったらしいタイトルの本だった。上野氏は部下に同書を読むよう指示。宣伝販売促進部に所属する小山内智子氏はそれに従った。 今年、日本の若い女性会社員の多くが引き込まれたように、小山内氏もすぐに虜になった。野球ではなく、経営学の巨匠である故ピーター・ドラッカー氏のファンになったのである。 100万部を超す大ベストセラー