福武直(1975)「社会科学と価値判断(1949)」『福武直著作集 第一巻』東京大学出版会, 197-327. 福武はまず「価値判断排除」にまつわるヴェーバーの主要文献ならびに学会報告、そして、その立場をめぐって発生した二つの論争―ウェーバーの「客観性論文」に端を発する旧論争(1904-)と存在論的価値の客観性を主張するゴットル派との間でかわされた新論争(1935-)―を概観する。その中で、「価値判断排除」の立場が、似而非論者らに濫用されることによって、もたらした悲劇的結末が以下のように語られている。価値判断の排除は、その抽象性の故に不毛となると共に、この排除自体が全体性なる価値判断に化するのである。…「価値判断排除」は、時代的状況の故に(引用者注・シュモラーを総帥とする講壇社会主義者に対して)その勝利を確保したが、それが峻烈なウェーバーの論理的分析と誠実無比な彼の人格に根ざす知的廉直を離
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