取材に応じた偽ニュースサイト運営者のキャメロン・ハリス。メリーランド州アナポリスの自宅の仕事場にて PHOTO: GABRIELLA DEMCZUK / THE NEW YORK TIMES ある電気工がクリントンの名前のある投票用紙が詰まった箱を見つけた──。米大統領選の際に数多く流通したフェイク・ニュース(嘘/偽ニュース)のなかでもインパクトが強かったこの記事は、600万のシェアを集めた。誰がなぜ制作し、いくら儲けたのか? 制作者本人が取材に応じた。 秋の初めだった。世論調査で劣勢にあった共和党のドナルド・トランプ候補は、自分が見事に落選した場合に備え、もっともらしい理由を準備しているようだった。自分はいつも勝利者でなくてはならないのだ。 「正直に言って、選挙結果が不正に操作されるのではないかと心配だ」 トランプは、オハイオ州コロンバスの集会で、憤激する群衆を前に語った。自分は不正操作