7月24日にアートディレクターの佐野研二郎氏(43)が手掛けた東京五輪の大会エンブレムが発表されてから、9月1日に使用中止が決まるまで――この期間、あらゆる問題が次々と浮上し、新聞、テレビは連日、ニュースを流し続けた。が、次の点を詳(つまび)らかにした報道は今のところまだない。佐野氏の案はどういう経緯で選ばれ、修正され、そして使用中止に至ったのか。審査委員や五輪組織委員会の関係者など、証言を重ね合わせていくと、問題の背景に浮かび上がるのは、ある「電通マン」の存在……。 ⇒【新国立競技場問題】既に約13億円をザハ氏に支払った文科省 *** 「今回のエンブレムの選出経緯は、コンペの名を借りた不当な選出方法であったと言わざるを得ない」 匿名を条件に取材に応じた審査委員はそう断ずる。エンブレム選出の当事者の口から飛び出した“不当”という厳しい言葉。選出の背景に深刻な問題があったことをうかがわ