東京都港区にある日本スポーツ振興センター(JSC)3階の新国立競技場設置本部は、深夜まであかりが消えない日がつづく。 7日の有識者会議で2520億円に膨らんだ計画にゴーサインが出てからも、職員は連日、国会答弁の準備に追われる。8日午後は抗議電話が殺到し、7本の電話回線がふさがった。「終電で帰り、風呂でも入って出直して来いとは言うんですが。徹夜する職員もいます」。高崎義孝・総務部運営調整役はいう。 大成建設との最初の契約(約33億円)がまとまった9日も、鬼沢佳弘理事らが参院の文教科学委員会に呼ばれ、野党議員から計画のずさんさを糾弾されつづけた。「財源確保の見通しはあるのか?」「今、契約してはダメだ」。紆余曲折(うよきょくせつ)の末に出港したはずの船が、猛烈な逆風を受けて座礁しているように映る。 2012年ロンドン五輪の主会場の4倍近いともされる建設費を押し上げるのが、コンペで採用されたザハ・