認知症患者の足の爪を切ってけがをさせたとして、北九州八幡東病院(北九州市)の看護師だった上田里美さんが傷害罪に問われた事件で、福岡高検は今年9月に上告を断念、無罪が確定した。逆転無罪の判決を言い渡した福岡高裁は、容疑を認めたとされる捜査段階の供述調書の信用性を否定した。「刑事さんは写真でしか判断してくれず、何を言っても認めてもらえなかった」と、拘置中の102日間を振り返る上田さん。フットケアに関する捜査機関の理解不足、「鬼看護師」などと書き立てたマスコミ…。この事件は一体、何だったのか。上田さんと、弁護団の上田國廣・主任弁護士に話を聞いた。(敦賀陽平) 【複数の写真の入った記事詳細】 ―捜査機関の取り調べはどのようなものでしたか。 上田さん とにかく、わたしの話をなかなかイメージしてもらえませんでした。刑事さんは写真でしか判断してくれず、何を言っても認めてもらえなかった。「水掛け論」