ひとりのロシア人男性とともに激動の人生を歩んだバイオリン。 今から100年前に海を渡り、広島にやってきました。 ロシア革命、そして原爆の惨禍を生き抜いたバイオリン。 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く今、私たちに何を伝えているのでしょうか。 (広島放送局 記者 相田悠真) バイオリンの持ち主、セルゲイ・パルチコフさんです。 1893年、ロシアの貴族の家に生まれました。 幼いころからバイオリンを習い、大学では法学の学位を取得。 1917年のロシア革命では帝政ロシア軍の陸軍中佐として戦いましたが、祖国を追われ日本へ亡命します。 広島に居を構えたパルチコフさん。妻と3人の子どもたちと暮らしていました。 生活は困窮し、無声映画を上映する映画館でバイオリンを演奏して生計を立てていました。 ある時、パルチコフさんの演奏の評判を聞いた女学校の校長から誘われ、生徒たちに音楽を教えることになります。